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設計事務所の仕事内容を解説!必要なスキル、将来性についても説明します

建築家としてのキャリアを積む場合、最初は設計事務所で働くことからはじめる場合が多いです。設計事務所への就職、転職を考えている方は、その仕事内容がどのようなものか知っておきたいですよね。

ここでは、設計事務所への就職に特化して建築家の養成をしているデザインファーム建築設計スタジオが、設計事務所の仕事内容について解説します!設計事務所で働くのに必要なスキル、年収、設計事務所の将来性などについても説明しているのでぜひ参考にしてください。

設計事務所とは

まず、設計事務所とはどのようなものかを説明します。

設計事務所の意味

設計事務所とは、建築物の計画立案、設計、設計監理、工事監理、法令に基づく手続きの代理などを業務とする事務所のことです。

設計事務所はビルや一般住宅、施設などの建築プロジェクトを主導する役割を担い、建築主の要望を聞きながら設計を行い、建物の完成まで監理をします。設計事務所には建築士が所属していて、建築に関する専門的知見から、法規に従った上で建築を行います。

国土交通省のデータでは、令和5年4月1日時点で法人個人合わせると94,950社が建築士事務所として登録されています。 

この中には、設計よりも施工をメインとする建設会社や工務店も含まれていますが、この記事では、いわゆる「建築家」が主宰しているような、建物全体の設計を担う設計事務所について説明していきます。

設計事務所の種類

設計事務所にはさまざまな規模、体制、専門性の事務所があり、その特徴ごとに区分されています。特に大きな分類としては組織系設計事務所、アトリエ系設計事務所に分けられます。

組織系設計事務所とは、資本が大きく、所属している設計スタッフが多い設計事務所です。意匠設計、構造設計、設備設計の部門を備えており、建築物の設計を自社ですべて行うことができます。資本と人員が備わっていることから、商業施設や公共施設、マンションなどの大きな建築物の設計を行うことが多いです。企業体が大きいこともあり、経済性、効率性を重視するとともに、論理的なデザインを行う傾向にあります。

アトリエ系設計事務所は、建築家の作家性を活かし、意匠設計を得意とする設計事務所です。アトリエ系設計事務所の多くは小規模ですが、有名建築家の設計事務所のように多くのスタッフが所属しているような大規模な事務所もあります。アトリエ系設計事務所は、住宅や小規模な施設を手がけることが多く、組織系設計事務所よりもデザイン性の高い設計を行うのが特徴です。

設計事務所の仕事内容

設計事務所の意味については解説しましたが、設計事務所の仕事内容はどのようなものなのでしょうか。実際の業務の流れで解説します。

ヒアリング・調査・企画

建築主から相談を受けると、設計事務所では計画の概要や目的、要望、予算などをヒアリングします。建築主のニーズを的確に掴み取るとともに、イメージを共有することが大事です。

ヒアリングで得た内容をもとに、調査・企画・プレゼンテーションを行います。実際に建築する敷地の調査、法令調査を行い、敷地の形や地盤、道路や隣地との高低差、敷地の法的な規制など様々な調査を行います。その後、調査に基づき、建築主の要望を踏まえた企画を作成します。図面や模型、パースなどを用いてプレゼンテーションを実施して、気に入ってもらえればさらに具体的な設計に進みます。この段階で設計契約を交わすこともあります。

基本設計

計画案が決まったら、基本設計を行います。基本設計では、建築主の希望条件に従って基本的な内容を図面で明らかにすること、建物の完成イメージや建築工事費等の共有をすることが目的です。

仕様書や配置図、平面図、断面図、立面図などを作成し、基本的な骨格を設計するとともに、構造や使用材料、設備、機器、品質などの大まかな仕様を決定し、全体的なイメージを固めていきます。大まかな見積もりも作成することで、必要な予算に関しても確定していきます。

実施設計

実施設計では、基本設計をもとに建物の構造、設備の詳細を決め、実際に建築物を建てるための詳細な設計図を作成していきます。

実施設計では、外観や内部空間・コンセプトのデザインなどの意匠設計、建物の基礎や骨組み、柱や梁の設計である構造設計、配管や空調、電気などのインフラに関する設備設計のすべてにおいて詳細な設計図を作成していきます。展開図、矩計図、平面詳細図、天井伏図、部分詳細図、構造図など、工事業者が建築作業を行うのに必要な詳細な資料も作成します。

実施設計によって必要な設備や工事などが明らかになるので、これらをもとに工務店や建設会社に見積もりを取り、チェックし建築主にアドバイスをします。見積もり調整をしながら建築確認申請も行います。

工事監理

工事の事業者が決定し工事請負契約が完了すると、いよいよ着工することになります。

工事が始まると、設計事務所は工事現場において設計図や仕様書どおりに工事が行われているかの点検・確認を行います。設計図書や仕様書どおりでない箇所があった場合には、工事管理者に対して指摘をして修正してもらいます。また、定期的に会議を行い、工程や品質、安全面などの確認も行っていきます。

施主とは定期的に打ち合わせを行い進捗の報告を行うとともに、現場で変更箇所がある場合には調整するとともに、仕上げの色決めなども打ち合わせを行います。

竣工・引き渡し

工事が完了したらいよいよ引き渡しとなりますが、その前に竣工検査を行います。仕上げの状態、ドアの開閉状況、設備の確認などを施工会社や設計事務所などとともに行い、不具合があった場合には修正作業を行います。また、建築基準法上の完了検査も受け、検査済証を発行してもらいます。

これらが完了すると、鍵や保証書などを渡し引き渡しとなります。家の引き渡し後も、維持管理の手伝いや定期的な住宅のチェック、リフォームの相談などを行い、継続的にお付き合いを行います。

設計事務所の仕事に必要なスキル

設計事務所の仕事内容を説明してきましたが、設計事務所で働くときに必要なスキルとはどのようなものなのでしょうか。

立体を把握する力

設計事務所で働くうえで、立体を把握する力は重要です。

建築物は大きく複雑な立体なので、立体をイメージできなくてはよい建築をすることはできませんし、結果的にクライアントに喜ばれる設計ができないかもしれません。また業務の中で図面や模型なども作ることができません。クライアントへのプレゼンや施工者への説明などにおいても、立体を把握する力がなくてはうまく伝えることができないでしょう。

常に立体でものを考える、繰り返し描いてみる、さまざまな建築物を見るなど、立体を把握する力を養わなくてはなりません。これは訓練によって身につくものなので、模型をたくさん作ったり直したり3DCGで建築モデルを作ったりしているうちに出来るようになります。

コミュニケーション力

設計事務所で働く時にはコミュニケーション力が重要になります。

設計事務所で建築を設計をする際には、多くの人と関わることになります。所内ではチームで動くことになりますし、施工会社やメーカーの人や建築主などともコミュニケーションを取らなくてはなりません。クライアントへの説明や打ち合わせ、コンペなどでのプレゼン、関係会社との調整なども行わなくてはなりません。

こういった場面では、相手の意図をうまく聞き出すとともに、こちらのメッセージを正しく伝える必要があります。認識に齟齬があると後で大きなトラブルになってしまうかもしれません。設計では曖昧なイメージを具体化しなくてはなりませんので、コミュニケーション力がより重要になります。 

CADスキル

設計事務所で仕事をするためには、CADの操作スキルが必要です。

CADはコンピュータを用いて2Dや3Dの設計図を作成するツールです。CADを用いることで設計の精度が向上しますし、複雑な図面を短時間で作成できるようになります。修正なども容易ですし、クライアントとのコミュニケーションなどにも役立ちます。

設計事務所では、2DではVectorworksやJW-CADが代表的なソフトウェアとして使われています。3Dの作成には、SketchUpやRhinocerosの操作も覚えておくと良いでしょう。

法律の知識・調査力

設計事務所で働くには法律の知識や調査力も必要です。

建築物は人間が生活したり利用したりするものなので安全性が求められ、建築物を作るときにはさまざまな法律上の定めがあります。また、建築物を建てる地域によっては高さなどの制限があるので、そういった配慮も必要になります。

確認申請の業務を行うためには、建築基準法や建築士法、消防法、環境関連の規制なども解しておく必要があるでしょう。また、こういった法律は変化するので、最新の法律を理解して適切に設計に反映する能力も求められることもありますが、就職時にすべての内容を理解している必要はなく、業務のなかで建築する地域や物件ごとに必要な情報を調査をする力が必要になります。建築関係法についてはこちらに詳しく記載されています。

設計事務所の年収

設計事務所で働いた場合には、どれくらいの年収が得られるのでしょうか。

設計事務所の主宰者を対象に実施した調査データを見ると、設計事務所の主宰者の平均年収は545.8万円となっています。ただし、規模によりこれは大きく変わり、1人事務所の主宰者では449万円だったのに対して、10人以上の事務所主宰者では868万円となっています。規模が大きくなれば主宰者は収入が大きく上がることがわかります。

また、設計事務所に勤務する一級建築士の平均年収は622万円となっています。建設会社に勤務する一級建築士では757万円となっています。

厚生労働省の職業情報提供サイトを見ると、建築設計技術者の平均年収は632.8万円とされています。国税庁によると日本人の平均年収は460万円ですので、設計事務所で働くことで平均以上の収入を得ることができるでしょう。

設計事務所の将来性

設計事務所に就職した場合、将来性はあるのでしょうか。将来仕事がなくなってしまったり、収入を得ていくのが難しくなってしまったりしないか不安な人もいると思うので、ここで説明しておきます。

まず、近年の傾向としては設計事務所の年収は上がっています。2024年の経営動向調査によると、『「3年前と比べた平均年収の変化」を尋ねたところ、回答した90社の計93%が「増加」と答えた』ということです。『「100万円以上の増加」(12%)と「50万円以上100万円未満の増加」(27%)が計約4割を占め』ており、大きく年収が上がっていることがわかります。人手不足が続いていることもあり、今後も年収は高まっていくと予想されます。

また、矢野経済研究所による将来展望でも、「今後、建築家マッチングサービスや建築家を活用するプラットフォームの利用拡大等により、”建築家住宅”の認知度が向上し、建築家がより身近な存在になることで、こだわりのあるデザインや機能を求める施主(顧客)層にとっては、建築家住宅が一つの選択肢として徐々に確立されていくものと考える」とされています。こだわりのある住宅を作るために設計事務所で住宅を建築する人が増えると考えられるでしょう。

さらに、需要は日本にとどまりません。特にこれからは発展著しいベトナム始め、東南アジアで日本の建築家が活躍しはじめている傾向があります。これからますます世界で日本の感性が求められる時代になるでしょう。

まとめ

設計事務所の仕事では、建築主とのコミュニケーションから始まり、意匠設計や構造設計、設備設計、工事の監理、アフターサポートなど幅広い業務に携わります。そのため、幅広い知識やスキルが求められます。これから設計事務所で働きたいと考えている人は、設計事務所で求められる知識やスキルをしっかりと身につけておく必要があります。

デザインファーム建築設計スタジオは、未経験でも設計事務所で働くための力を養うことができる学校です。建築家の設計事務所で求められる「知識・技術」「デザイン力」「設計スタンスの土台」といった力を身につけることができます。

実際に設計事務所の主宰をしているプロの講師が教えてくれるので、現場に即した知識・スキルを学ぶことができます。資格取得ではなく、「設計事務所で働くこと」に主眼をあてているので、より実践的な力を養うことができます。設計事務所への就職を目指したいという方は、ぜひ学校説明資料をご覧ください。

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