連載コラム:03 「好き」は2種類 ワクワク系と〇〇系
見落としたらもったいない!「好き」の種類は2つ
前回の記事で、好きなものや好きなこと=自分の中に「熱」があるという内容をご紹介しました。
「熱」は自分の中から湧いてくるエネルギーなので、多いほど行動しやすくなります。好きな人のためには大変なことでも頑張れるし、好きなものを手に入れるためなら遠くまで出掛けるし、好きなアーティストを追っかけることも容易にできてしまいますよね。
「好き」の力って本当にすごい。偉大な先人たちが口をそろえて、「好きなことをやりなさい。」と言うのもわかります。
今これを読んでくださっているあなたはたぶん「建築が好き」で、自分でも創ってみたい表現してみたい、建築に携わる仕事をしてみたい、と思っていますよね。
ただ、「ワクワク」というとちょっと違う気がする、あるいは「熱」と言われてもピンとこない、という人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
実は「好き」には種類があり、「ワクワクする!」「大好き!」のように一度に多量の「熱」が湧き上がる「好き」もあれば、まるで泉からこんこんと水が湧き出るような静かな「好き」もあるのです。
●ワクワク感はないけど、いつもそのことばかり考えたり、ついそれにお金を使っている・・・こんこん系
「ワクワク系の好き」は感情が大きく動くので、自覚しやすくわかりやすい「熱」です。一般的に「好き」というと、こちらを想像する人がほとんどだと思います。
一方で「こんこん系の好き」は、特に感情は動きません。そのため自分ではわかりにくく気づきにくいのですが、見落としたらもったいない「熱」がここにあります。
そこで今回は、わかりやすい「ワクワク系の好き」と、見つけにくい「こんこん系の好き」について、その違いと見つける方法をご紹介します。
熱の軸:好きの見つけ方
●あなたのこれまでの経験を振り返って、以下のものを抽出してください。
1.実際に行動して体験した結果、心が満足した経験(ワクワク系)
2.子供時代に、好きだったことや夢中だったこと(ワクワク系)
3.ついやっていること、気づくとまたそのことを考えていたり、なぜかそれにお金をかけていること(こんこん系)
1.実際に行動して体験した結果、心が満足した経験(ワクワク系)
ワクワクしたり夢中になれること、時間を忘れて没頭すること、幸せを感じられることなど、あなたの「喜び」「熱」があるところです。思い出しただけで笑顔になったり、心があたたかく感じられるでしょう。
ここで大事なのは、実際に行動し体験した結果、「またやりたい!もっとやりたい!」になったこと。まだやったことはないけど考えるとワクワクする・・・というものは除外します。
実際に体験してみたらもう満足してしまって、それっきりになった・・・という経験はありませんか?頭で想像しているのと実際にやってみるのでは、その後の展開が大きく異なってきます。
体験してみたら楽しくてワクワクしてもっともっとやりたい!となったこと、それこそがあなたらしい「熱」であり、あなたを動かすエンジンの燃料です。ぜひ「何をしてどんな感覚を味わったときに幸せを感じるのか」「そのとき、どんな感情が湧き上がってくるのか」を思い出してください。
2.子供時代に、好きだったことや夢中だったこと(ワクワク系)
1の質問と似ていますが、こちらの方がより純粋な「喜び」や元々の「興味関心」が表れるところです。大人から刷り込まれた価値観や世間体とは関係ない、純粋なあなたの「好き」「ワクワク」がここにあります。
どんな遊びが好きだったのか、何に没頭していたのか、親や先生に止められなければずっとやり続けていたことなどを思いだし、そのときの感情や感覚を呼び起こしてみてください。
3.ついやっていること、気づくとまたそのことを考えていたり、なぜかそれにお金をかけていること(こんこん系)
ワクワクしているわけではないけど、気付くとそのことを考えていたり、ついまたそれにお金を使っていたり、必要ないのにやってしまうなど、「つい」「なぜか」「妙に」時間やお金を使っているものやことを拾い出します。気づくこと自体が難しいかもしれませんが、あなたが無意識に「時間」と「お金」を費やしていることに、一番あなたらしさが表れます。
人は面白いくらいに同じことを繰り返しているもので、たとえ時期やシチュエーションが違っても、その行動の背景にある動機は同じです。「時間」と「お金」を使っているというのは、つまりエネルギーを使っている、ということ。あなたを動かす共通の動機が、「つい」やっていることに表れています。
「ワクワク系の好き」が感情レベルの「熱」だとしたら、「こんこん系の好き」は細胞レベル。泉から湧き出るような枯れない「熱」です。見落としたら、本当にもったいないですよね。
建築の設計をするとき、「こんな空間を創りたい!」「こんな間取りをカタチにしたい!」「外観はこんな感じにしたい!」など、そこにはあなたの「想い」があり、想いの元には「熱」があります。そしてその「熱」は、「建築」という目に見える形にしたり表現することで社会に循環していきます。あなたの「好き」を、これからも大切にしてくださいね。