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デザインファームの設計課題に「住宅」が多い理由

住宅模型

「デザインファームでは、住宅の課題しかやらないのでしょうか?」

入学前によく頂く質問のひとつです。
SNS等にアップしている学生作品も大半が「住宅」なので、疑問に思う人が多いのかもしれません。

設計課題としては、もちろん住宅以外の課題(図書館やギャラリー、シェアハウスなど)もありますが、それらの課題が出されるのは2年生になってから。1年目は「住宅」を簡単な課題からスタートし、少しずつ条件が追加され複雑なものに至るまで、ステップアップしながら設計していきます。

なぜそんなに「住宅」ばかり条件を変えていくつも設計するのか、そこには明確な理由があります。

 

理由1・住宅を設計できれば、他もできるから

住宅模型

「住宅」は、人が一日を過ごす場所であり、日常が継続される場所ですよね。そこには、人間のありとあらゆる「行為」が存在しています。

食べる、寝る、お風呂やシャワーで身体を清潔にする、トイレで排泄する、といった生きる上で必須の行為をはじめ、掃除や洗濯、料理などの家事があります。また趣味に没頭したり子どもと遊んだり、お茶を飲んでくつろいだり人を招いてお酒を飲むなど日常を楽しむ場面がたくさんあり、それらは個人で楽しむ場合と人と関わって楽しむ場合では考える要素が違ってきます。

他にも例えば、子育てや介護もあるし、リモートワークで仕事をしたり、本を読んだりTVを観たり、スマホをいじる、ぼーっとする、ペットのお世話や庭木の手入れなど、もう書ききれないほどの「行為」が凝縮する場所…それが「住宅」です。住宅には人のあらゆる行為が凝縮されている

設計する上で考える要素が一番多いというのは、言い換えると「設計の密度が一番濃い」ということ。
一番密度の濃い、一番考える要素の多い「住宅」の設計ができたなら、その他の建築はそれらの要素、それらの「行為」から部分的に取り出して考えればいいわけです。様々な条件での「住宅」を設計できるようになれば、他の建築についても自然と設計できるようになっています。

住宅を設計できると他も設計できる

 

理由2・みんなに共通で、取っ掛かりをつかみやすいから

「住宅」以外の建築の場合は、知っていてよく利用するという人もいれば、全く経験がないという人もいますよね。よく利用する人には当たり前の「図書館」や「美術館」も、全く利用しない人や興味のない人にとっては未知の領域であり、設計するためには「どんなものか、まずは行ってみるか…」というところから始めなくてはなりません。

それに対し「住宅」なら誰にでも当てはまるので、「こういうのが使いやすいな」とか「もっとこうしたら素敵になるのに」「ここがこうなっていたら…」等の、住み手として利用者としての経験や実感が既にあります。「建築の仕事をしてみたい」と思う人なら、なおさらいろんな想いやアイデアや問題意識を持っていることでしょう。

自分の経験を活かしてすぐに課題に取り組むことができるので効率が良く、また実感を伴うその経験は他者との「共感」につながる大切なものでもあるのです。

建築学生 設計課題発表

これまでの住環境(家族との暮らし、ひとり暮らし共に)での経験とそこで感じたことをそのまま活かし、「自分ならこうしたい!」「ここからこんな風景が見えたらいいな」「こんな日常を過ごしたい!」等のあなたの想いをぜひ「住宅」の課題で形にしてみてください。あなたが実体験で感じた心地良さや快適さ、高揚感は、あなたの作品を通してクラスメイトや講師に伝わり、やがて未来のクライアントへと伝搬していきます。

 

毎日を過ごす「住宅」が楽しく豊かであれば、そこに住む人は豊かな日々を送ることができますね。あなたが創る「住宅」が誰かの幸せにつながります。デザインファームの教室ではそんな想いと共に、今日もみんなが作品を創っています。