デザインファームトップ > ブログ・建築家への道 > 昼間部2年生「狭小住宅」発表講評会 -狭い敷地に豊かな住空間を創る-

昼間部2年生「狭小住宅」発表講評会 -狭い敷地に豊かな住空間を創る-

昼間部2年生 設計課題 狭小住宅

デザインファームのカリキュラムには、設計課題に取り組む「計画スタジオ」と、建てるために必要な技術を学ぶ「技術スタジオ」があり、2年間で様々な課題が出題されます。
その中には「短期課題」という一気に集中して仕上げる必要のある設計課題があり、昼間部2年生が毎年秋に取り組む「狭小住宅」も、その短期集中型の課題です。

「狭小住宅」の敷地全体像

課題「狭小住宅」の敷地。ここに4人家族の住宅を設計します。

はっきり言ってこの課題、1級建築士で普通に実務をやっている人でも難しい課題ではないでしょうか。狭い敷地に各部屋を機能的にまとめるだけでもかなり大変なのですが、そこへ更に、「二人称」という抽象的なテーマも与えられています。これは家族同士のお互いの「見る、見られる」を考えるというもので、記憶の中で家族の姿が背景の建築とセットで在るよう、建築が舞台装置となるよう考慮する、というとても奥深く難しい課題なのです。

模型に「人」を立ててみるとその狭さがよくわかります

模型に「人」を立ててみるとその狭さがよくわかります(せ、せまい…)

しかも、与えられた設計期間は例年わずか2週間。今年はイレギュラーな事態が発生し1週間延びましたが、それでも他の課題も同時にやりながら、模型を作ってプレゼンできるようまとめるには短い期間です。これだけ大変な条件が重なった中で、学生のみなさんはそれぞれの個性が感じられる素敵な作品を創ってくれました。

昼間部2年生 設計課題 狭小住宅

設計にはひとりひとりが大事にしている価値観や感性が、そのまま表れます。
家族同士の距離感を特に大事にする人、目線の変化による心地良い遮り方を工夫する人、見えるだけでなく目線が合うことにこだわる人、美しい一枚の絵画のような風景を模索する人、夫婦の居場所を設置することで繋がりを表現する人、狭い中に圧巻の吹き抜けを創ることに挑む人、二人称の対象を家族だけでなく「建物と街」に解釈を広げた人、独自の世界観で「街」に建物の存在感を示す人、「場」や「モノ」で家族に間接的なコミュニケーションを促す人。

昼間部2年生 設計課題 狭小住宅

昼間部2年生 設計課題 狭小住宅

昼間部2年生 設計課題 狭小住宅

昼間部2年生 設計課題 狭小住宅

そこにはそれぞれの世界観、「その人ワールド」が建築として表現されていました。
それぞれの価値観を大事にしながら、必要な空間を適切に配置し、狭さを感じさせない工夫を随所に散りばめたとても豊かな住空間を、この発表講評会では見ることができました。何度も言いますが、これってプロでもなかなか難しいことなんです。さすが、昼間部の2年生!

昼間部2年生は、この後はいよいよ2年間の集大成、卒業制作へと進んでいきます。ますます楽しみです。