こんにちは。
デザインファームスタッフの田中です。
今年も卒業の時期が迫ってきました。
今年度はコロナ禍での授業ということで試行錯誤の連続でしたが、学生の皆さんはしっかりと自分の建築を作り上げて着々と建築家の世界へ近づいています。
さてこの1年、私はコロナが建築界に与える影響ってなんだろう、とずっと考えてきました。
建築の世界に興味のある方ならきっと気になることですよね。
現役建築家の講師の先生方にも、会うたびに影響ありますか?とお聞きしたり、スタッフともそのような話をしてきた中で、今思うことを書いてみたいと思います。
実務にはまだ影響はない?
国土交通省の発表によると、2020年の新築着工戸数は前年比9.9%減ということで減少したそうなのですが、これはコロナ以前から4年連続で減少しているということなので一概にコロナの影響ともいえないかもしれません。
どちらにせよ、お客さんが減っていて建築業界は大変?と思いきや、講師の建築家の方々や卒業生の方など身近なところではそのような話はあまりなく、むしろ忙しくなっているなんて方もいらっしゃいました。
おそらくどんな業界にも言えることだと思いますが、人口がどんどん減ってきている昨今、「選ばれる」仕事の仕方がポイントになっているのかな、と感じています。
また、そのポイントの必要性はコロナで急加速しているようにも思います。
建築は人が主役。だからコロナの影響は大きい
デザインファームでは呪文のように「建築は人が主役」と言い続けているのですが、「建築」という形のあるものだからなのか、案外そのことを忘れてしまいがちなので、わざわざたくさん、いろいろなところでこの言葉を出しています。
建築は人が使うものなので、当然人の価値観や時代背景の移り変わりによって形も変えていきます。
これまでの歴史の中では、使える素材や技術の発達とともに縦に伸びたり、信じられない形になったりしたこともありましたが、目に見えないもっとソフトな部分での変化もあります。
住宅メーカーのCMで「あったかい家に帰ろう」なんてキャッチコピーもあったように、最近では住宅の性能や技術ではなく、心地よさや家での楽しい時間に目を向けるようになってきたのがその証拠です。
そんな中、このコロナ禍で大きく変わった生活。
ここからはさらに建築や住宅に求められるものが変わっていくのではないでしょうか。
コロナ禍で変わったこと
皆さんは、コロナ禍でどのような生活の変化がありましたか?
それぞれに大なり小なり変化があったと思いますが、多くの人に影響を与えたのは「働き方」の変化、ではないでしょうか。
これまで「働く場所」「住む場所」は全く別という方が大半で、それぞれの場所に必要とされる機能も違いました。
それが、どちらも同じ場所で、または自分の好きな場所でできるようになったのは画期的な変化ですよね。
また、物理的な働き方の変化と同時に、働く内容も多様化してきたように思います。
会社員でも副業が可能になったり、芸能人がYoutuberを兼業したり、一つの仕事や会社に縛られない、自分の能力をいろいろなところで発揮できる、そのことが一般的になって認められてきた、と感じています。
名刺の肩書きに「建築家/料理家/写真家…」なんてたくさん職業が並ぶのもおかしくありません。
一見この変化は建築には関係ないように思うかもしれませんが、これは全てのことにリンクしている、と私は思います。
自分ってどんな人?その根っこを知ることが大事
最初に「選ばれる仕事の仕方がポイント」という話が出てきましたが、それがこの住まい方や働き方の多様化に繋がってくるような気がしています。
建築家にとってのお客様は、住宅であればそこに暮らす人、大きな建築であればクライアントの企業や行政です。
ライフスタイルが多様化している中で、家を建てたいとなった時、どんな基準で設計する人を選ぶでしょうか。
私なら、「この人なら私の働き方や暮らし方、理想とする人生をわかってくれそう」と直感でそう感じた人に設計してもらいたいと思います。
せっかく家を建てるのに、よくある一般的なま間取りじゃつまらない、自分が自分らしくいられる家に住みたいってそう思うからです。
企業なら、このような時代の変化に沿った企画で計画を立てるでしょう。そして、その企画にマッチしたデザイナーに依頼するはずです。
要は、自分らしさを持っている、そしてそれを形にできることがお客様に選ばれるポイントなんじゃないかと思うんです。
モノとしてかっこいいものが作れるのも大事な建築家の能力ですが、もうひとつ踏み込んで、あなたにしか作れない空間を見つけるのも大事なことかもしれません。
また、そういう仕事ができたらすごく素敵ですよね。
(現に、デザインファームの先生方は仕事も人生もひっくるめて楽んでいる方が多いですよ^^)
デザインファームでは、建築の基礎ももちろん学びますが、一人ひとりの持っているものやこれからやっていきたいことを一緒に探りながら建築家としての根っこを作っていくサポートもしています。
今は新しい時代の建築を自分の手で作り上げていけるとても良いタイミングだと思います。
興味のある方は、またぜひ学校で校長の話を聞いてみてください。
それではまたの機会に。
田中