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建築デザインのおもしろさは、設計者の小さな操作にある?

建築模型 学生

今週もデザインファームの教室で見つけた、建築の「おもしろい!」をお伝えしていきます。

さて、突然ですが、みなさんは「建築」って何だと思いますか?


建築基準法では、「建築物」は以下のように定められています。

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨(こ)線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

電子政府の総合窓口(e-Gov)建築基準法より

 

いろいろな条件が書かれていますが、「建築物」というには、

  • ・土地に定着している
  • ・屋根・柱または壁がある

 

少なくともこの条件が揃っている必要があるということが書いてあります。建築物として申請するにはこの条件が必ず必要です。

でも、意匠設計(建築デザイン)の視点から考えてみると、壁を1枚設計しただけでも、提案の仕方によってはそれも建築として成り立ってしまうのです。

学生 建築模型

以前、卒業設計のテーマ決めの際に学生から「居場所の提案をする」というアイデアが出たことがあります。
ちょっとしたヘコミや、イスを一つ置くだけでできるような、小さな居場所をたくさん提案してカタログ状にする、という案でした。これは一つのアイデアとして出たものなので実現はしなかったのですが、とても面白いテーマだなと思って今でも印象に残っています。

例えば、1枚の壁にちょっとした突起をつけて駅前に設置してみるとします。その壁は駅で待ち合わせをする人たちの居場所になりそうですね。
でも、もしその突起がすごく低い位置についていて、奥行きがあるものだったら?設置される場所が公園だったら?とても高い壁だったら?また少し違った居場所になりそうです。

学生 建築模型

建築は、空間と人との関係で成り立っています。
建築家の小さな操作は、その空間でなんらかの出来事を起こすきっかけになるのです。
建築家はモノとコトをバランスよく設計する仕事だ、とデザインファームではよく言っています。
モノとして魅力的に設計することも大事ですが、素敵な出来事が起こるように、と考えながら設計するのはもっと楽しいなと思います。

建築家の小さな操作は、身近なところにたくさんあふれています。
家の中や街中で探してみると面白いかもしれませんね。

(文・田中いづみ)