今回紹介させていただくのは、体験授業 “東京建築案内 ~丸の内編~” 。
毎回、東京にある建築を取り上げ、その建築がもつ見所を紹介し、建築の楽しみ方をお伝えする東京建築案内。
その新シリーズ 「丸の内編」 です。
東京駅の復元で盛り上がる丸の内周辺。
日本を代表するビジネス街であり、高層ビル群が立ち並ぶその街並みはここにしかない世界を作り出しており、当然のことながら建築的な見所が満載のこのエリア。今回授業で紹介するのは、「丸の内ブリックスクエア・三菱一号館美術館」 と 「明治生命館」 。
「丸の内ブリックスクエア・三菱一号館美術館」 は、ジョサイア・コンドル設計の三菱第1号館を美術館として復元した三菱一号館美術館と、丸の内パークビルディングの一部、商業集積施設として作られた丸の内ブリックスクエア、そして、それらに囲まれた一号館広場で構成される空間です。
ジョサイア・コンドルは、イギリスのロンドン出身の建築家で、お雇い外国人として来日し、政府関連の建物の設計を手がけ、また工部大学校 (現・東京大学工学部建築学科) の教授として辰野金吾ら、創成期の日本人建築家を育成し、近代以降の日本建築の父と言ってもよい人物です。
時代の異なる表情をもった建築と、それらに囲まれて生まれている広場。実際に何度か訪れたことがあるけど、この広場がとても居心地が良いです。決して広くはない空間だけど、程良い覆われ感(閉ざされ感?) があって、豊かな外構と相まって、とても落ち着く場所になっています。思わず入って行きたくなるような、中がチラ見できるその配置もとてもうまいなぁと僕は感じました。天気の良い日に、お茶でも飲みながらただぼーっとしたくなるような、そんな素敵な空間です。
岡田信一郎設計の「明治生命館」。岡田信一郎は、歌舞伎座(第3期)、ニコライ堂の修繕などが代表作。
こちらは外観だけは見たことがあったけど、中にこんな空間がつくられていることを授業で始めて知りました。岡田信一郎の明治生命館と、平成になって建てられた高層の明治生命ビル、そして、その隙間に作られたアトリウム、パッサージュ。丸の内らしい外観を持ちながら、特別な内部空間を作り出しています。
ガラス張りの光に満ちたアトリウム・パッサージュ。建物を縦断・横断する隙間の空間が、人々が過ごし、移動する賑やかな空間になっているようだと写真からも伝わってきます。表の表情からはちょっと想像ができなかった空間です。ぜひ今度訪れてみたくなりました。
今回も講師は我らが水沼先生。
授業は、2つの建築を中心に紹介しながら、それだけには収まらない楽しい話が満載。建築に込められた意図を分かりやすく読み解いてくれたり、建築を見る楽しさが増すような鑑賞のポイントを教えてくれたり。建築的な話はもちろんのこと、丸の内エリアの誕生秘話、丸の内のいまの街並みがどうやって出来上がったのか、などなど、建築を超えた歴史・文化の話まで、50分という時間があっという間に過ぎていく内容盛り沢山の授業です。