去る10月27日、デザインファームの教室にて本校主催の講演会を開催いたしました。
講師を勤めて下さったのは新進建築家の小高由紀子さんです。
一級建築士事務所AterierODKを主宰なさっております。小高さんは写真やスケッチなどの
美しいスライドを多数用いながら、住宅を中心とした設計活動のお話をたくさん聴かせて下さいました。
小高さんは始めに、建築との初めての出会いから今日に至る足跡を語ってくれました。
幼少時代に自宅の新築の間取りを一緒に考えたこと、学生時代、フランク・ロイド・ライトの作品との出会い、
レーモンド設計事務所での修行時代、そして独立して事務所を開設するまでを、楽しいエピソードを
交えながらとても魅力的に聴かせて下さいました。
次に、今まで手がけてこられた作品の紹介をして下さいました。
クライアントさんとの出会いからエスキース、プレゼンテーション、実施設計、そして現場監理を経て完成に
至るまでを、一作一作をていねいに解説して下さいました。
中でももっとも印象に残ったのは、小高さんが現場に対する深い愛情と尊敬を語られたことでした。建築は
建築家一人がすべてを作るのではなく、構造や設備設計家の方や、現場で直接モノ作りをしている職人さん
たちとの協同作業によって生まれてくるもの。そして現場で収めるのが難しい部分に遭遇したときに、職人
さんたちのアイデアもどんどん採り入れながら問題を解決して行くことの楽しさ。建築家という仕事の難しさも
楽しさも共に現場が多くを与えてくれるものなのだと、改めて思いの深まるすばらしいお話でした。
建築家の方が自らの建築との出会いを振り返りつつ語ってくれる。そして現場という、雑誌のグラビアからは
なかなか伺い知れない世界を語ってくれる。そんなお話を聴ける機会は、実は意外に少ないものです。
そんな意味でもやはり講演会で生のお話を聴く機会が持てるのは良いものだなと改めて思いました。
デザインファームではこれからもたくさんの講演会を開いて、いろいろな建築家の方のお話が聴ける機会を
どんどん持てればと考えています。
(水沼 均)