11月25日は僕にとって二度目の体験授業を行いました。
今回は二軒の教会建築を紹介しました。
アメリカの建築家スティーブン・ホールが設計したシアトルの聖イグナティウス教会と、
オランダのアルド・ヴァン・アイクがハーグに設計したローマ・カトリック教会です。
近代・現代の教会建築には数多くの印象的な作品があります。
鉄やガラス、コンクリートなどの新しい素材を生かし、そして新しい構造技術を
ふんだんに用いながら、いにしえの組石造の時代ではとうてい作り得なかった
斬新な形態を生み出した教会が多く建てられています。
そんな中で僕はいつも、ホールとヴァン・アイクの建てた小さな教会に
ひときわの愛着を感じます。共に小さな平屋建ての建物ですが、
テクノロジーや新素材に傾倒しすぎることなく、大変美しくて優しい内部空間を
創り出しているからです。
教会建築では光はもっとも重要な建築素材ですが、この二つの教会でもすばらしい光を
体験することができます。ゴシックや古典様式などの昔の教会建築の光は、荘厳さに包まれた、
神が天から人間に与えた光という印象があります。それに対してホールとヴァン・アイクの教会では、
光は人々がそれこそ手で触れることができるくらい身近なところに豊かに降り注いできます。
規模の大きさで人を圧倒するのではなく、ていねいに抑制された柔らかいスケールの中で、
人々を優しく包み込んでくれるのです。
両者共に平面形状はほとんど出っ張り引っ込みのない四角形プランです。
しかし実際に訪れてみると内部空間は驚くほど豊かなドラマを持っています。
設計をしているととかく平面形に工夫を凝らしたくなりがちですが、
この二つの教会を見ていると、建築は本来とても立体的で、多くの可能性や夢に満ちた
存在なのだと改めて認識させてくれます。
こんな一見当たり前のようなことを、二つの教会はいつも僕にそっと思い出させて
原点へと連れ戻してくれます。その喜びを少しでもお伝えできればと思いつつ、
二度目の体験授業を終えました。
(水沼 均)