デザインファームの2008年度もいよいよ大詰めを迎えてまいりました。
昼間部の住宅設計スタジオと建築設計上級スタジオは、3月始めに他クラスよりも一足先の年度末を迎えました。
その年度末のハイライトとなるのが卒業制作の発表講評会です。生徒さんたちが数ヶ月をかけて準備した最後の
集大成プロジェクトが大勢の前でデビューを飾る日です。今年も50名近い大人数の前で、2年生の生徒さんたちが
次々と作品を発表して行きました。
最後を飾る作品だけあって、どのプロジェクトもみな大変なエネルギーに満ちあふれています。
時間をかけてじっくり練り上げたアイデアを元に、普段ではなかなか手がけられない大規模な建築や創意工夫に
満ちた建築が次々と発表されて行きます。
ではここで、その傑作群の一部を簡単に紹介してみましょう。
映画制作のスタジオや編集などのたくさんの場を思い切り縦に積み重ねた立体公園を街の真ん中に作って、一般
見学者にもどんどん覗き見て身近に感じてもらおうという壮大なプロジェクト。屋上にはなんと映画館が五軒も!
たくさんの家族が集って住まう集合住宅に立体的な路地をたくさん設けて、くぐったり曲がったりしながら楽しく
暮らせる場を提案したプロジェクト。こんな集合住宅が本当にあったら僕だって住んでみたくなります。
郊外の街の緑豊かな遊歩道沿いに新しく広場を設けたプロジェクト。この広場は美術学校の研修施設にもなって
いて、生徒さんたちが作品を制作している姿を生き生きと眺めることができます。
完成した作品を人々に観てもらうギャラリーや、生徒さんと近所の人がくつろげるカフェもあります。
東京では貴重な自然遺産の等々力渓谷。その一角に突如降臨したSF映画のような不思議な建築空間。でもその
ゴツい外観とは裏腹に、中はたくさんの彫刻とポカポカ暖かい陽射しが人々を迎えてくれる優しい建築です。
見たこともないような円形の大空間の中で、みんなで泊まりがけで生け花を楽しんじゃおうというユニークな
プロジェクト。周囲にはグルリと、切り花を並べ飾った華麗な廻廊空間が取り巻いています。
これらのほかにも実にたくさんの魅力的なプロジェクトが次々と登場しました。
朝始まった発表会が終わったのは陽がすっかり暮れた後。幾日も徹夜を重ねて準備した生徒さんたちですが、
ついに発表の重圧から解放されました。
そして疲労もよそに、先生までいっしょに連れ立って打ち上げパーティの会場へと向かって行きました。
(水沼 均)