vol8. お客さまに聞いてみよう! -強みの見つけ方- | デザインファーム | デザインファーム建築設計スタジオ
コラム「建築家のための戦略&マーケティング」

vol8. お客さまに聞いてみよう! -強みの見つけ方-

“理想のお客さま(ターゲット)”にとって嬉しいことを、そのお客さまの言葉で表現する・・・そのためには実際にお客さまに聞いてみるのが一番!それまでのお客さまの中から、理想的な人(全てのお客さまがこの人みたいだったらいいなあと思える人)を何人か選んで、直接聞いてみましょう。

飲食店でもクリニックでも、いろんなところでお客さまアンケートをやっていますよね。あれは単に感想を聞いているのではなく、本当は何を望んでいるのか(ニーズ)、どこと比較されているのか(競合)、何で選ばれているのか(自分の強み)を、お客さまの声から見つけるためです。

そうはいっても中には、何を聞きたいんだろうなあと思うようなアンケートもあります。アンケートは場合によってはある方向に誘導してしまうので、その質問項目がとても重要です。

建築家の場合は、お客さまを訪ねて直接お話を聞いてくるというのがいいですよね。(もしかしたら、知り合いが家を建てるんだけど、なんて情報が得られるかも知れませんし)

重要なのはこの3つ。

[1]何を望んでいたのか=ニーズ

[2]誰(どこ)と比較されたのか=競合

[3]何で選ばれたのか=自分の強み

[1]のニーズについては、設計の過程でかなり奥深くまで聞いていたはずなので、あらかじめ要点をまとめておくといいですね。頭の中でまとめるのではなく、必ず紙に書き出すか、テキストデータに起こして言語化しておくことをお勧めします。そうすることで、曖昧だったものが明確になるからです。

そして、競合や自分の強みについての質問。ここからが特に重要です。

いきなり、「私の強みって、何だと思われます?」なんて質問しても、「えー?そんなの、わかりませんよ。」と言われるか、「作風が好みだったので。」と一般的な返事しか返ってこないでしょう。

そこで[2]と[3]を聞き出すための具体的な質問は、

[2]もし私(自分の事務所)がいなければ、どこに行きましたか?

[3]そこを選ばずに、私(自分の事務所)を選んでくれたのは何故ですか?


です。

[2]で出てきた答えが、(そのお客さまにとっての)あなたの“競合”です。

「ああ、やっぱりか」という答えもあるでしょうし、「ええっ?そこ?」と思うような答えもあると思います。

そして[3]で出てきた答えが、(その競合に対しての)あなたの“強み”です。

ここでも「ああ、やっぱりね」という答えもあれば、「ええっ?そんなとこ、ほめてくれるの?」という答えもあるでしょう。

もしあなたがいなければ代わりに選んでいたという相手が、(そのお客さまにとっての)あなたの“競合”。

そしてその相手(競合)でもよかったかもしれないのに、そちらを選ばずにあなたを選んだその理由こそ、(そのお客さまにとっての)あなたの“強み”。この質問と答えはとてもシンプルです。

そしてもしも、「そんなとこ、ほめてくれるの?そんなの、別に当たり前なのに・・・」と思える部分が見つかったなら、それこそがあなたの一番の“強み”です。だって、あなたにとってはごく当たり前のことなんですよね?苦労して必死にやっているわけでもなく、普通にやっていることで「そこがいい!」とお客さまに言ってもらえるんです。あなたにとっては当たり前すぎて気づいていなかっただけ。そんな自分自身の“強み”も、直接お客さまに聞いてみることで見つかります。

もしかしたら、選んでもらえなかった人からその理由を聞いてみたいという思いもあるかもしれませんね。でも選んでくれなかった人に聞いても出てくるのは“弱み”であり、“弱み”を克服したところでしょせん人並み。それよりは、“弱み”なんてどうでもいいと思えるくらいに“強み”を伸ばしてしまえばいいわけです。

あなたのお客さまは、あなたの“強み”を「そこがいい!」と選んでくれたんです。だったら

「そこがいい!もうあなたしか考えられない!!」と言ってもらえるところまで“強み”を伸ばしてキャラを立たせる

           ↓

  その“強み”をお客さまの言葉で、ホームページなどでアピールする

           ↓

  誰に?・・・“理想のお客さま(ターゲット)”に!


だからこそ、あなたの“強み”と“理想のお客さま(ターゲット)”はセットで考える必要があります。

もうひとつ重要なのは、お客さまの答えを要約するのではなく、なるべくそのまま、お客さまが話したとおりにメモしてくることです。なぜなら要約すると、それは自分の言葉になってしまうから。お客さまの言葉で表現したあなたの“強み”をメッセージにしたいのですから、できるだけそのまま書き留めます。

「なんか素朴な感じで・・・」と言われたらその通りに。

「このカチーンとした空間がいいんですよ。」と言われたらその通りに。

それはつまりこういうことだなと要約して「心地いいんです。」なんて表現しようものなら、抽象的すぎて全く伝わりません。

そして、せっかく“理想のお客さま(ターゲット)”から声をいただけたのですから、ぜひ!「お客さまの声」としてホームページに掲載しましょう。

どういうわけか多くの建築家のホームページには、この当たり前の「お客さまの声」がありません。あっても目立たないところに入り口があったり「coming soon」だったり、全く重要視してない人が多いようです。

あなただって「この商品、良さそうだなあ」と思ったら、まずクチコミをチェックしますよね?

家を建てたい人も同じです。「この建築家、良さそうだなあ」と思ったら次に知りたいのは作品コンセプトではなくクチコミ、つまり「お客さまの声」です。自分がお客のときには当たり前だったことが、売り手側になったとたん、なぜか気づかなくなるんですね。(どの業界でも同じです。みんな、自分のことになると見えなくなるんです。)

“理想のお客さま(ターゲット)”から教えてもらったあなたの“強み”、さっそく目立つところでアピールしていきましょう。

【参考】

◎「白いネコは何をくれた?」 ―フォレスト出版―

◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま 2010/02/25号 http://archive.mag2.com/0000111700/20100225203000000.html (別ウィンドウが開きます)

この記事を書いた人

牧野めぐみ

媚びるのでもなく、無理するのでもなく、
ただ自分らしい生き方で、自分らしい建築を創る

そのための「誰とも戦わなくていい、戦わずにすむ戦略」をコラムとして綴っています。

1964年、静岡県生まれ。
「デザインファーム建築設計スタジオ」創設時から、事務局で裏方として運営に関わり、
自身も設計事務所での勤務~独立経験がある。

「自分の作りたい建築を作り続ける」×「クライアントに喜んでもらう」×「豊かな日常」を可能にするために、マーケティングの活用を提唱している。

デザインファームで、自分らしい設計という観点からの「キャリア戦略」の授業や、建築家対象の「マーケティングセミナー」を担当している他、心理カウンセラーとしての活動も行っている。

個人ブログ:マーケティングと心理と建築と