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コラム・建築家のための戦略&マーケティング

vol.2 「理想のお客さま(ターゲット)」はとことん絞って考えよう!

「そうそう!こういうのがほしかったんです!」と言ってくれる、自分にとって理想のお客さま。マーケティングや戦略理論では「ターゲット」という呼び方をしています。この「ターゲット」という呼び方、個人的な感覚ですが私はあまり好きではありません。なのでここでは、「理想のお客さま(ターゲット)」という表現で進めていきます。

「理想のお客さま(ターゲット)」は、とにかく絞ること!これは現代の日本においては業界問わず、もはや常識中の常識です。
レストランもホテルも旅行会社もエステサロンも、歯医者さんや公認会計士だって、「理想のお客さま(ターゲット)はこんな人で・・・」と徹底的に絞った上で、自分の戦略を考えています。
市場縮小、不況といわれる現代で、伸びている企業はどこも当然のようにやっています。
建築家だって同じこと。「理想のお客さま(ターゲット)はこんな人で、こういうニーズを持っている。だから自分のこんな強みをわかってくれて・・・」と、しっかり戦略を立てた上で行動することが大切です。

理想のお客様を絞る

「理想のお客さま(ターゲット)」を絞る方がいいって、どういうことなのか?これは自分がお客になる場合を考えてみるとわかりやすいと思います。
例えば雑誌を買う場合。あなたが30代男性でファッションに興味があれば、20代~60代の男性向け総合雑誌よりも、30代男性向けファッション雑誌を手にとりますよね。
例えば両親の結婚記念日にプレゼントを選ぶ場合。それとなくほしいものを聞いてみても「特にない」「うーん、自由になる時間かな」なんて返事しか帰ってこないし、親の世代がほしいものって正直わからない。今さら肩たたき券でもないし・・・。とりあえずデパートで探しますか?
それとも、シニア層向け商品&サービス専門のショップが「親孝行したいあなたを応援します!フェア」をやっていて、両親と同じくらいの年齢の人が笑顔で接客していたら、そちらに行ってみたくなりませんか?いろいろと相談に乗ってもらえそうだし、思いもしなかったプレゼントが見つかりそうです。

「うんうん、確かにそうだ」と納得できたら、では建築家の仕事に置き換えてみましょう。
「自然素材も和風もRCも木の家も、バリアフリーもマンションリノベーションも店舗もクリニックも、何でもやります!建築の設計なら自分、何でもできますよ!」
では選んでもらえない、ということがおわかりいただけると思います。だからといって「RC専門です。打ち放し、自信あります!」とか、「自然素材ならお任せ!」とか、材料や工法などの「モノ」で絞ってアピールしてもそれほど意味はありません。
その程度の絞り方なら、設計施工の会社がとっくにやっていて、すでにそれだけでは選んでもらえない時代になっています。
自然素材でいくなら、自然素材を求めるお客さまってどんな人なのか?なぜ自然素材を求めるのか?なぜ人工的な材料ではダメなのか?
その人はいったい何に困っていて、何がほしいと考えているのか?・・・できるだけ具体的に考えてみましょう。

大事なのは「お客さまのニーズ」で絞ること。お客さまは「モノ」ではなく、「価値」を買っているからです。
マーケティングの格言に「ドリルを買いに来た人がほしいのは「ドリル」ではなく「穴」である」という言葉があります。
お客さまはドリルそのもの(モノ)がほしいのではなく、ドリルが開ける穴(価値)がほしいのです。
建築家の場合なら、あなたが設計した住宅=「モノ」ではなく、あなたが設計した住宅がお客さまのニーズを満たすこと=「価値」で選ばれているということです。
「OOが不便で困っているから、家を建てたら快適にOOしたいんです。」
「OOが大好き!OOを楽しめる家なら残業なんかしないで毎日速攻で帰るのになあ。」
「お客さまのニーズ」にあたる「OO」をできるだけ具体的に考える。そして「OO」を手に入れたお客さまが毎日どんな風にその家で過ごすのか、映画の撮影監督になったつもりでイメージしてみることです。

映画の撮影監督になったつもりでイメージ

そしてもうひとつ大事なのは、「理想のお客さま(ターゲット)」は、 「自分の強み」とセットで考えること。
多くの場合「自分の強み」は、得意なことや経験豊富なこと、そして何より、自分の好きなこと、やりたいことと一致します。

例えば、あなたの好きなことが「車」だったら。休日は朝からずっと洗車や車いじり。ご飯も忘れて没頭できるくらい「車」が好きなら、同じように「車」好きの人を「理想のお客さま(ターゲット)」にしてみる。「車」というより、「愛車」というキーワードで考えてみてはいかがでしょうか。

あなたが「オーディオ」命、だったら。同じように「オーディオ」命の人を「理想のお客さま(ターゲット)」にしてみる。「オーディオ」命の人がどんな家をほしいと思っているのか、あなたなら簡単にわかりますよね。
あなたが子どもの頃から犬を飼っていて「もう犬のいない生活なんて考えられない!」としたら。あなたと同じ「もう犬のいない生活なんて考えられない!」人を「理想のお客さま(ターゲット)」にしてみる。愛犬は大切な家族であるという価値観が一致しているので共感が生まれやすく、共感した上でさらに完成した家に満足できたら、お客さまはあなたのファンになります。

あなたのホームページに訪れたときから「そうそう!こんな○○のある暮らしが夢だった!こういう家がほしかったんです!」と言ってくれる「理想のお客さま(ターゲット)」とはどんな人なのか。「自分の強み」と照らし合わせて徹底的に考えてみてください。

戦略とは、「自分を選んでもらう理由を明確にした上で、仕事の理想像、将来のビジョンを決める」こと。そしてその戦略に基づいて、「お客さまにファンになってもらうための仕組み」がマーケティングです。

でも中には、「他の業界は、同じ人が何回もお客さまになってくれるでしょ。建築家の仕事って、同じ人がじゃあもう一軒!なんてフツーはないし、リピーターってものが存在しない。一般論は当てはまらないんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんね。
世の中には、 (基本的に)1回限りの、リピーターを想定しないビジネスがたくさんあります。

例えば自動車教習所・・・免許が取れたらそれで終わりです。
例えば高校受験の進学塾・・・高校に入学したらもう来ません。
例えばお墓・・・飽きたから変えようなんてまずありませんね。(ご先祖様に叱られそうです)

他にも結婚式場や学習雑誌『小学1年生』など、リピーターを想定しないビジネスはいろいろあります。
どうやら建築家だけが特殊、というわけではなさそうですよね。

むしろ1回限りのビジネスだからこそ、そのたった1回のお客さまにファンになってもらい次のお客さまを紹介してもらう。つまり、「ファンになってもらうための仕組み=マーケティング」が必須なんです。例に挙げたビジネスの中で生き残って伸びている企業はいずれも、戦略に基づいてファンになってもらうための工夫に取り組んでいます。

他の業界では当たり前の考え方が、建築家の世界ではまだまだ浸透していないのが現状です。きちんと戦略を立てた上でマーケティングを取り入れて行動に移している、という人がとても少ない。ということは、早くやった者勝ち!だと思いませんか?

この記事を書いた人

牧野めぐみ

媚びるのでもなく、無理するのでもなく、
ただ自分らしい生き方で、自分らしい建築を創る

そのための「誰とも戦わなくていい、戦わずにすむ戦略」をコラムとして綴っています。

1964年、静岡県生まれ。
デザインファーム建築設計スタジオ創設時から、事務局で裏方として運営に関わり、自身も設計事務所での勤務~独立経験がある。

「自分の作りたい建築を作り続ける」×「クライアントに喜んでもらう」×「豊かな日常」を可能にするために、マーケティングの活用を提唱している。

デザインファームで、自分らしい設計という観点からのキャリア戦略の授業や、建築家対象のマーケティングセミナーを担当している他、心理カウンセラーとしての活動も行っている。

個人ブログ:マーケティングと心理と建築と

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