
デザインファームトップ > 特集・建築家になる方法 > vol.5 27歳から建築家をめざす方法
特集・建築家になる方法
27歳。社会人としても余裕がでてきて、仕事もプライベートに関しても「自分はこれからどんな風に生きていきたいのだろう」と将来を真剣に考え始める年齢です。一方で、20代後半や30代から新しいことを始めるのは少し勇気がいりますよね。実は、建築設計の仕事は経験豊富な社会人になってから始めるのにぴったりの仕事なんです。
学生の平均年齢27歳。これまで25年以上に渡って、たくさんの卒業生を未経験から意匠建築の世界へ送り込んできたデザインファーム建築設計スタジオが、27歳から建築家になる方法と、実際に未経験から建築家になった卒業生の声をご紹介します。
世間一般では、建築設計を仕事にするには「数学ができないとだめ」「就職するには建築士の資格が必要」「特別なセンスがある人しかなれない」と思われがちです。自分は文系だし・・・、絵も苦手だし・・・と諦めてしまう方も多いかもしれませんが、「数学」「センス」「資格」、実はこれらは建築設計の仕事をするために必ず必要なものではありません。
建築家の仕事は、建築設計の分野の中で「意匠設計」と呼ばれています。建築設計にはほかに「構造設計」「設備設計」という分野があり、建物は
「意匠」「構造」「設備」の3つの設計のプロ達が共同で設計しています。
構造設計や設備設計は、数学の知識が必要な理系エンジニアの仕事です。
しかし、意匠設計のプロ(建築家)に必要なのは、簡単な計算だけで、複雑な数学を理解する必要はありません。
また、建築士の資格は、建築設計事務所へ就職する際にはあまり必要とされません。
なぜなら、一級建築士や二級建築士といった建築士の資格は、独立開業の際に必要な資格であり
スタッフとして設計事務所で働くうえでは取得していなくても問題ありません。実際に、建築家の主宰するいわゆるアトリエ事務所とよばれるところでは、新人に資格を求めることはほとんどありません。
求人票に「建築士資格のある方」と書いてあることもあるのですが、そういった条件をあえて書いているということは、その設計事務所では実務経験が豊富な人材を求めていると思って良いでしょう。
そして、建築家の仕事には絵画などのピュアアートのようにひらめきや特別なセンスよりも、「ふつうの人」の感覚が必要です。
住宅であれば「施主がどんな暮らしをしたいのか」「気持ちのよい空間とはどんなものなのか」それを提案して共感してもらわなければいけません。
センスはたくさんの良い建築を見れば育つもの。まずは、あなたがこれまで経験してきた暮らしや人生を設計に反映させることが大事です。
社会人として様々な人生のイベントを経験したり、見聞きして、人間として視野が広がっていることが仕事に活きてくる職業です。27歳という年齢が建築を始めるのに最適な理由がここにあります。
では、建築家になるためには具体的に何からはじめれば良いのでしょうか。 先ほどは「数学も資格もセンスも必要ない」と書きましたが、図面に何が描いてあるのか、どんな意味なのか、など建築に関する知識がまったくない ままでは設計事務所で働くのは難しいので、まずは学校等で建築の基礎を学びます。
さらに、将来独立をめざすのであれば、ひとりの建築家として社会とどうつながっていくか、建築家としてのスタンスを固めていかなければなりません。さらに、独立すれば仕事も自分でもらってこなくてはならないため、経営やマーケティングの知識、そしてさまざまな人脈をつくっていくことも必要となってきます。これは、学生の間に基礎を固めておく他、スタッフとして設計事務所で働いていく中で培っていきます。
これから建築家になるためには、「テクニック」「デザイン力」「スタンス」の3つをを養うこと、それをアピールするためのツール(ポートフォリオ) を持つこと、が必要です。
ー3つの能力を養うー
【テクニック】
意匠設計事務所で働くために必要な建築技術の知識、図面の描き方、模型の作り方、立体を把握する能力。これらは主に手を動かす能力です。設計事務所へ就職して一番最初に必要とされます。
【デザイン】
建築をモノ・コトの両面からとらえ、デザインする能力。デザインに対する集中力、持続力。クライアントから要望をうまく聞き出すためのコミュニケーション能力。これらを習得するためには、頭で考える訓練が必要です。
【スタンス】
建築家として独立するときに必要な、表現者としてのスタンスを自覚整理し、コントロールする能力。
独立する際には、ひとりの建築家として何を大事に設計活動をしていくのか、表現者として、経営者として、軸をもたなければお客様はついて
きてくれません。学生のうちから、軸となる考え方や方向性について意識しておく必要があります。
ー自分をアピールするためのツールー
【ポートフォリオ】
自分はこんなことができる、こんな考えをもった人間である、ということを知ってもらうためのツールです。主に学生時に設計した課題をまとめて、設計事務所での面接の際に見てもらうことになります。また、独立した際には、自分がどんな設計をする建築家なのかをクライアント候補にアピールするためにポートフォリオをつくります。
デザインファーム建築設計スタジオでは、2年間でこれらの能力を身に付け、ポートフォリオを制作することで、未経験からでも意匠設計事務所へ就職することができるようにカリキュラムを組んでいます。いずれも、建築未経験であることは問題ありません。
建築設計は、建築以外のさまざまな経験や知識が活きる仕事です。 一度社会に出て社会のルールやしくみを理解していることは、スタッフを雇うボスとしても心強く、重宝されます。また、建築とは関係ない経験や 人生で起こるさまざまなイベントを身近に感じているいることで、クライアントの要望に共感し、設計に反映させることができます。
建築は「人」がつかうもの。建築の主役は「人」です。奇抜な発想や難解な建築論よりも、大切なのは良いものを良いと感じられる「ふつう」の 感覚を持っていること。感性を支える技術と知識を使いこなすテクニックを鍛えることができれば、27歳は建築をはじめるのにとても有利な年齢です。
そうはいっても、実際はどうなの?と思ってしまいますよね。そこで、実際に27歳から建築をはじめた卒業生たちの声をご紹介。 建築家をめざしたきっかけから、年齢に関して、実際の仕事についてなど、たっぷりとお答えいただきました。 ※2014年1月に開催された卒業生トークイベント「27歳から建築家になる方法」より。 ※動画でもご覧になれます。→ Youubeで見る。
卒業生プロフィール(2014年1月現在)